2016年6月3日、文部科学省が、中学と高校の部活動に休養日を設けるという提案をまとめました。来年度にもガイドラインを作成してどのくらいの休養日が必要なのかという方針を示すということです。
この提案に関しては、賛否両論ありまだまだ議論の余地がある問題だと考えています。この記事では、中学、高校の部活動の休養日が関係者にどう影響してくるのか、教師の立場、生徒の立場、親の立場から考えてみたいと思います。
教師の立場から
中学、高校の部活動の休養日を設けるという一番の狙いは、教師の負担を減らすという目的が一番大きいのだと思っています。
教師は、基本的には顧問制をとっている学校がほとんどだと思いますので、教師であればどこかの部活に所属することになります。少し古いデータで恐縮ですが、2006年の統計では、中学校において、92.4%の教師が部活動の顧問を担当していています。
しかし、部活動の顧問を担当することは教師の義務ではありません。あくまで学校の方針で行っているものなのです。もちろん、部活動の顧問をやりたいがために教師になるような方もいらっしゃるとは思いますが、そうでない場合も多いのではないでしょうか。土日も部活動を行うのが普通なので、部活動がある限り教師の休みも基本的にはないことになります。
それでは、手当てを増額して補償すればよいのではないかという意見もあるようですが、教師のアンケートをとったところ、手当てを増額すればよいと考えている教師は約50%。残りの半分は金銭の問題ではなく、休みが自体がほしいという結果になっています。
この部活動問題は前々から議論されていたところでしたが、近年は若手の教師を中心に部活動だけに限らず教師の業務量の多さに疲弊して学校もブラック企業だ、正当な業務量にしてほしいと訴える方もでてきました。
以上のような流れがあり、さすがに国も教師の声を無視することができなくなってきたため、こういった取り組みがなされることになったのです。
教師の立場から考えると、部活動の休養日を設けることも十分検討に値するものだと思います。
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生徒の立場から
私は学生のころ運動部に所属していたため基本的には部活動の休みというものはありませんでした。定期試験の数日前くらいに試験勉強の時間を確保するという名目の休みがあったくらいで、ほとんと休んだ記憶がありません。マインドコントロールといっては大げさかもしれませんが、部活動とはそういうものだと思っていました。
もちろん中学校、とりわけ高校生にもなれば、自発的に自分のスキル向上のために休むことがもったいないと考えている生徒もいるかもしれません。学生でいる時間は限られていますからね。
だからといって、休みなしに毎日猛練習をするだけがトレーニングではないと思います。精神的にも肉体的にも強制的に休むという日をつくることで、リフレッシュになったり、マインドのリセットにもつながりプラスの効果を生むことの利益のほうが大きいのではないかと思っています。
親の立場から
子どもが本当に部活動が大好きで一所懸命励んでいる姿を見せてくれるのであれば、子どものやりたいようにさせてあげたいと思います。入部先が、名の通った強豪校であったり、将来本当にその道に進もうと考えている子どもであれば、その子の生活に合わせて活動することも仕方ないと割り切れるかもしれません。
しかし、親としても平日は遅くまで仕事をして、土日は、練習試合や発表会に参加するといったことを繰り返しているとやはり休みがあっても良いのかなと思います。親は強制ではないから部活の応援はいかなければいいと考える方もいらっしゃると思いますが、親同士のつきあいがあったり、自分の親だけ来ていないと子供に感じさせたりすることになるので話は単純にはいきません。部活自体が休みになれば、そういった悩みもなくなるのではないかと思います。
まとめ
以上、中学、高校の部活動の休養日の設定の是非について、教師、生徒、親の立場から考えてみましたが、私は、おおむね賛成したいと思います。
ただ、そうなると必然的に部活動の活動時間が少なくなるため、練習量や質をどう保っていくのかということもあわせて考えていかなければならない問題です。
難しいことだとは思いますが、教師、生徒、親の三者にとって、バランスのとれた制度になるような提案をしていただきたいと思います。
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